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ものづくり補助金デジタル枠は事業躍進のチャンス!(第1回)

ものづくり補助金デジタル枠は事業躍進のチャンス!(第1回)

ものづくり補助金は、新しい事業やサービスへの取り組みに役立てるために活用できる補助金で、多くの経営者や事業者の方々が申請を検討されていることでしょう。

この度、10次締切分の公募から、「デジタル枠」という申請類型が新設されました。このデジタル枠は、事業を躍進させるチャンスとして大いに活用可能なものです。この記事では、デジタル枠の内容を、重要なキーワードであるDXから紐解いて解説しています。

具体的な活用案等は次回以降の記事をお楽しみにしていただきたく存じます。

 

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ものづくり補助金全体の概要

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業や小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援することを事業の目的として掲げています。

補助対象事業の類型は、大きく分けて「一般型」と「グローバル展開型」に分かれます。さらに「一般型」は、「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」と4つの枠に分かれており、全部で5種類の申請類型があります。

申請類型によって要件、補助金額、補助率、補助対象経費等が異なるため、申請に当たっては公募要領や関係情報を必ず確認しましょう。

 

 

デジタル枠の補助内容

デジタル枠は10次締切分で新設された申請類型で、次のような内容となっています。

項 目要 件
概要DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発またはデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援
補助金額【従業員数5人以下】     100万円〜750万円

【従業員数6人〜20人】  100万円〜1,000万円

【従業員数21人以上】  100万円〜1,250万円

補助率2/3
設備投資単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要
補助対象経費機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費

 

 

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デジタル枠が新設された背景

DXってなんだろう?

公募要領のデジタル枠に関する部分には何度も「DX」という言葉が使われています。また世間のあちこちでも、今後の企業経営の分野ではDXが必要だという議論が散見されます。「デジタルトランスフォーメーション」の略語であるこのDXとは、一体どのような意味なのでしょう。

 

経済産業省が2018年12月に発表した「DX推進ガイドライン」ではDXを次のように定義しています。

 

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

 

とても複雑な表現のため、理解するのが非常に難しいというのが正直なところでしょう。また、これまでデジタルの分野で使用されてきた言葉あるいは考え方である「デジタル化」「IT化」などとはどう異なるのでしょうか。

 

より身近なものとして、勤怠管理業務を例に考えてみましょう。

現在でもタイムカード方式が多くの職場で採用されています。従業員は出勤時と退勤時に自分のタイムカードに打刻し、人事労務部門が毎月の締め作業を行っています。

打刻する機能だけのタイムレコーダーを前提とすると、まず紙であるタイムカードに記録された時刻に基づいて勤務時間を従業員別に計算する必要があります。かつて、この作業は帳簿に手書きで転記し、電卓を用いて計算していたと考えられます。

やがてIT機器が利用されると、Excel等の表計算ソフトに出退勤時刻を入力すれば、日毎はもちろん、当該締め月の合計勤務時間が瞬時に計算できるようになりました。また、給与基準も併せれば給与計算も同時に行えるようになりました。さらに、その集計結果のファイルを責任者に電子メールで送ることまで可能になりました。

ここまでが「デジタル化」、そして「IT化」のごく初期に起きたことだと言えるでしょう。さて、それからどうなったでしょうか。

 

手作業から解放されはしましたが、一部では紙ベースでのイレギュラーな処理が残りました。例えば時間外勤務届や有給休暇届が紙ベースで処理されており、全従業員分を回収し、それを加味して集計し直す面倒な手間が残りました。中には、上長の承認印がないため処理が進まないなどという非効率も残ったことでしょう。

他方、もうその時期には、Excel等を利用しながらも結局は人力に頼った勤怠管理や給与計算はもはや非効率で、もっと他に効率的な方法があると考えられるようになりました。そこで、人事労務関連業務を総合的に電子化したシステムが各社から提供されるようになりました。ほぼ全ての記録や手続が電子化されることで、締め日に夜遅くまで残業する必要性はほぼなくなりました。

 

ここまでが「IT化」による業務効率化でした。もちろん、ITによる業務効率化はより進化し、他業務・他部門と情報を共有して処理したり、著しく簡単になったり、場合によっては特定の業務や工程が不必要になることもありました。

 

ここで、いま1度DXの定義と、これまでの「デジタル化」「IT化」の経過を比較してみましょう。どのような違いがあるでしょう。

その決定的な違いは、DXは企業組織全体にわたり変革を起こすことを目的としている点にあります。デジタル技術、IT技術はあくまでその手段に過ぎません。DXは、現在のヴィジョン、組織文化、事業のあり方、個別の業務の必要性や手順などを含む企業活動全体を良い方向へ変革するために積極的にデジタル技術を用いるものです。そして、この変革は、ある一部の作業が効率化されるというようなものではなく、企業単位の変革であり、激しい競争に通用する優位性を手に入れるためのものです。

 

 

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DXを目指すのはなんのため?

では、企業がDXを必要とし、実現を目指すのはなぜなのでしょうか。どんな利点があるのか見ていきましょう。多くの利点が議論されていますが、ここでは4点ご紹介します。

業務の継続性の確保

多くの企業の多くの部門・業務では、その業務を知り尽くした職人エキスパートがおり、頼られる存在となっています。このことは、経験により蓄積した業務知識を他の従業員への指導・教育を通じて拡散させられるという良い点があります。

その一方で、極端な例では、その業務を担当するのがその人1人だけなどという場合もあり、そうでなくても他従業員への教育が不十分または行われないために、業務の多くの部分が1人の従業員に依存してし、業務が属人化してしまうという弊害も多く聞かれる現象です。

この状況下で、もしその従業員が退職や転職により組織から去ることとなった場合、業務が完全にストップしてしまうという危機に陥ることにもなりかねません。

DXにおいては個々人に帰属していたスキルを平準化、すなわちノウハウをデータ化して保存し、誰もがアクセスできる状況にすることにより、属人的にならない企業文化の創出が可能となり、業務の継続性、ひいては事業の継続性を確保することに繋がるのです。業務効率の向上は言うまでもなく、社内外の要求に対して応える時間、いわゆる「リードタイム」の短縮にも役立つでしょう。

 

新しい働き方と生産性の改善

2020年の新型コロナウィルス感染症をきっかけとして、リモート・ワークが相当程度に一般に普及しました。昨今、我が国で推進され始めている「働き方改革」もまた、労働者個人のライフスタイルに合った働き方を支持しており、それは強固な制度で集団を統制する組織におけるよりも労働生産性が大きく向上すると想定されています。

このような働き方を実現させる現実的な基盤としては、やはりDXが必要なのです。単にPCと通信環境を整備するということではなく、組織としての意識の変革、例えばコストの高い長時間の対面式会議から簡潔なweb会議への組織風土の変化は、先端技術によるDXの典型例であると言えましょう。

新しい製品・サービスの開発

社内の部門相互の連携がDXによって強化されることによって、日々変化する顧客や社会のニーズに応えられる新しい製品・サービスの開発が可能になるでしょう。

例えば、もちろん公開の上で、顧客に販売する通信機器類に、IoT技術による小型センサーを内蔵することができれば、製品の稼働、不具合をはじめとした多くのデータを取得・蓄積することができ、これを分析することでより優れた製品の開発に繋がるのはもちろん、メンテナンスサービスの向上や顧客への情報発信にまで広く活用できるでしょう。

 

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事業の変革、経営の変革

元来、経営者やマネジメント層の本質的な役割は企業戦略や事業戦略を決定することですが、現実的には現場を指揮する責任者として忙殺されているというケースがたいへん多いと考えられます。

 

DXにより組織の情報処理能力が向上すると、経営者らが実務レベルでの情報を取捨選択したり、比較的小さな決定を行ったりする必要性が相対的に低くなります。すると、本来あるべき役割である企業戦略や事業戦略の検討に専念しやすくなります。そして、競争の中における独自の優位性につき熟慮した結果として、企業全体の変革に結びつく現実性も高まるでしょう。

 

 

次回以降、デジタル枠の活用例をご紹介!

今回の記事では、デジタル枠を活用する上で知っておかなければならないDXについて主に解説してきました。情報関連の分野でカタカナや英字が飛び交う中、DX(デジタルトランスフォーメーション)について、「デジタル化」や「IT化」との違いを多少なりともご理解いただけたら幸いです。

次回以降は、このデジタル枠をどのように事業躍進に役立てられるのか、具体例を交えてご案内してまいります。

きっとチャレンジしてみたくなる内容です。乞うご期待!

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